阿伝集落——島の原風景が最もよく残る場所

阿伝集落——島の原風景が最もよく残る場所

こんにちは!HOWBEの谷川です!
喜界島は梅雨入りしましたが、今年も空梅雨気味で雨は少なめで気持ちの良いお天気が続いています。今日は喜界島の観光ガイドでも必ずご紹介をしているサンゴの石垣の集落「阿伝集落」についてご紹介します!

阿伝集落——島の原風景が最もよく残る場所

喜界島の中でも、サンゴ石垣の景観が最も色濃く残っているのが、島の東岸に位置する阿伝(あでん)集落です。

阿伝は、海と急峻な崖に挟まれた、ぱっと見れば「厳しい立地」に思える場所にある。しかし、阿伝集落に長く暮らし「阿伝サンゴの石垣保存会」でも活動する武田秀伸さんによれば、それはむしろ逆だったという。

「台風の度に海岸に打ち上げられるサンゴの石があることや、石を積む職人が集落にいたことで、高い石垣を作って風を防ぐことができました」

台風が来るたびに材料が補充される、という逆説的な恵み。さらに集落の地盤はサンゴ礁の化石でできており、地下水が溜まりやすいため各家庭に井戸を持つことができ、西側の崖からは湧き水も得られた。この水を使って隣人と助け合いながら米作りも行われていたといいます。

石垣の積み方にも職人の知恵が光る。海に近い民家ほど石垣を高く積み上げ、暴風を防ぐ。そして集落に入り込む風の勢いを殺すため、石垣はまっすぐではなく、緩やかな曲線を描くように積まれている。外側には大きめのサンゴ石、内側には小さい石、隙間にはさらに細かい石を挟み込むことで、石の重みが互いを支え合う構造になっている。セメントも使わずに、ただ積み重ねることで安定を生み出す技術です。

この集落の価値は広く認められており、阿伝集落は奄美群島国立公園の普通地域に指定されている(2017年3月、隣の嘉鈍集落とともに指定)。また「シマあるきコース」の一つとして、地域住民によるボランティアガイドの案内で集落内を歩くことができる。民族学者・岩倉市郎の生誕地としても知られ、映画のロケ地にもなった路地を歩けば、時代をさかのぼったような感覚を覚える喜界島で有数の観光スポットです。

喜界島が日本ジオパークに認定されたのも、隆起サンゴ礁の島だからという事ではなく、サンゴを活かして喜界島の人々が日々の営みを紡いできたポイントが評価されての認定だったそうです。


石垣を守り、未来へつなぐ

阿伝集落の住民たちは2020年4月、「阿伝サンゴの石垣保存会」を発足させた。台風被害や老朽化で崩れた石垣の修復活動を続けており、地元の小学生が保存会の指導を受けながら石積みを体験するなど、次世代への継承にも力を入れている。

石を積む職人が島から姿を消しつつある今、この活動が持つ意味は大きい。外側の大きな石、内側の小さな石、隙間を埋める石——その組み合わせは、数百年にわたって台風と共存してきた島の人々の経験が凝縮されたものだ。それを身体で覚え、手で伝えていくことは、単なる景観の保全を超えた、島の記憶の継承だと思う。


喜界島を訪れる機会があれば、ぜひ阿伝集落の路地を歩いてほしい。石垣の向こうから垂れ下がる赤い花、隙間から顔をのぞかせる植物、石の表面に刻まれた時間の模様——それらすべてが、この島の地質と歴史と人の営みが重なり合ってできたものです。

写真は阿伝集落にある末吉神社の境内に咲き誇るテッポウユリです。
ゴールデンウィーク前後で満開を迎えますが、満開の時の景色は圧巻です。


喜界島エコツアーガイド・HOWBEでは、阿伝集落を含む島内各所を歩くガイドツアーを行っています。島の自然・歴史・文化をより深く知りたい方は、ぜひご参加ください。
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